アグリテック甲子園レポート2021
2022年1月30日に「アグリテック甲子園2021」がアクリエひめじ展示場Aで開催されました。
当日は兵庫県内の学校のほか、北海道や岩手県からもオンラインで参加いただき、計6チームがアイデアを発表してくれました!
当日のレポートを是非ご覧ください!
アグリテック甲子園2021 タイムスケジュール
第1部(13:00~14:35)
13:30 オープニング
13:35 オリィ研究所 吉藤CEO 特別講演
※出場者及び会場限定のオンライン中継
14:35 第1部終了
第2部(14:50~18:00)
14:50 オープニング
14:55 姫路市長よりご挨拶
15:00 姫路市立書写養護学校・兵庫県立大学より
Farmbotの活用事例発表
15:20 審査員紹介・審査員長よりご挨拶
15:30 アイデア発表プレゼン(途中休憩あり)
17:30 審査結果発表
17:50 講評・閉会
8月21日(土)に、「アグリテック甲子園2021 アイデアソン」が開催されました。
大学生、高校生がそれぞれ3~5人のチームをつくり、SBイノベンチャーの社員の方々にサポートしていただきながら、アイデアをまとめ、発表しあった半日を参加者の目線からご報告します!
イベントはSBイノベンチャーの社員の方々の挨拶およびご説明から始まりました。
イベントのテーマを再確認しながら、これからの内容に期待が高まっていきました。
オリィ研究所 吉藤オリィCEO 特別講演
第一部は株式会社オリィ研究所 吉藤オリィCEOにオンラインで登壇いただき、参加学生とアクリエひめじの会場にお越しいただいた一般観覧者に向けて講演いただきました。
「きみが『したいこと』だけがきみの一生をささえる」をコンセプトに、テクノロジーを使って身体的問題や距離によって生まれる「孤独」を解消しようとこれまで取り組んできたこと、研究・開発したものなどについてお話しいただきました。
会場からの「仕事をする上で大切にしていることは何か?」という質問に「”何のためか”を見失わないようにしている。私はロボットや車椅子が作りたい訳ではなく『孤独の解消』がしたくて、そのための手段には固執しないようにしている。ぜひそういった『本当にやりたいこと』を見つけて、ひとりでも頑張って情報を発信し続けてほしい。そうすると必ずいい仲間を巻き込むことができます。」と語り、会場からは盛大な拍手が送られ、第一部が終了しました。
限定プログラムのため、オリィ様の講演の聴講を目的に会場に来た方も多数いました!
「Arduinoという言葉を知るだけでも世界は広がる」と語るオリィ氏
第二部ではまず2つの学校にFarmBotをどのように活用しているのかを発表いただきました。
姫路市立書写養護学校中学部には、FarmBotをプログラミングの学習として活用しながら農業に取り組み、農業版STEAM教育の実証として取り組んでいる内容を、兵庫県立大学にはFarmBotを元にしたカモミールの収穫ロボットの開発内容について、実際に取り組んでいる学生の方々に語ってもらいました。
書写養護学校 中学部1年 鍛示さんには、FarmBotの機能や設置状況、プログラミングの授業の様子などをお話しいただきました
書写養護学校 中学部3年 八木さんからは「FarmBotを通してSDGsを意識した取り組みも行なっている」と給食の野菜くずを堆肥にしたり、太陽光発電でFarmBotを稼働させていることをご紹介いただきました
兵庫県立大学 工学部4回生 和田さんは「動画からカモミールを検出して、その位置を特定するのが想像より難しかったが、その分やりがいがあった」と語りました
アイデア発表プレゼン
FarmBot活用事例発表の後は、いよいよメインプログラムであるアイデア発表プレゼンを行いました。
兵庫県内の学校だけでなく、北海道や岩手などの遠方からもオンラインで参加いただき、計6チームにアイデアを披露いただきました!
どのチームもこれまで検討してきたアイデアを堂々と発表されていました。
会場にいる審査員からは内容に関する質問だけでなく、「こんなところをもっと突き詰めて検討してみてほしい」といった今後に向けてのアドバイスなどもあり、熱い思いのぶつけ合いとなりました。
北海道岩見沢高等学校 開発土木専攻班
「産業間連携 土木で作成した3D位置情報を農業へ展開する」
姫路工業高等学校 姫工Flowers
「生産した農作物をすべて消費」
岩手大学 農革
「農業体験とITを融合した教育を中学生に」
兵庫県立飾磨工業高等学校 飾磨工業高等学校園芸部
「畑の番犬 バン君」
兵庫県立農業高等学校
「人が農を活かし、農が人を生かす」
兵庫県立大学 UoH
「補助金制度周知および書類作成を行うサポートアプリ」
審査結果
6チームすべての発表が終わると、会場は少し長めの休憩に入りました。
ずっと緊張した面持ちだった学生たちも、ほっとした様子で談笑したり、展示ブースを見て回ったりしていました。
その間に審査員の方々は別室で協議。各賞を決める熱い議論が交わされ…
厳正なる審査の結果、アグリテック甲子園2021 最優秀賞は「北海道岩見沢農業高等学校 開発土木専攻班チーム」に輝きました!
その他企業賞も含め、結果をご紹介します。
最優秀賞
北海道岩見沢農業高等学校 開発土木専攻班
SBイノベンチャー賞
北海道岩見沢農業高等学校 開発土木専攻班
野村アグリ&アドバイザリー賞
岩手大学 農革
中西製作所賞
北海道岩見沢農業高等学校 開発土木専攻班
姫路信用金庫賞
兵庫県立飾磨工業高等学校
飾磨工業高等学校園芸部
姫路市賞
兵庫県立大学 UoH
会場の様子
アクリエひめじの会場では、協力企業や大学等による農業関連の製品やサービス、開発研究の取り組みなどの展示をいただきました。
実際に目にしたり体験することにより、新しい発見や人と人の繋がりを生み出す機会になりました。
過熱水蒸気が農水産物の加工にもたらすメリットのご紹介
コミュニケーションロボットに興味津々な子どもたち
農作業のシーン別に、それぞれの作業に適した手袋をご紹介されていました
各種センサーで取得できるデータを、栽培に生かす仕組みについて説明中
農業コンサルタントのお仕事を紹介していただきました
スマート市民農園×農業版STEAM教育の紹介と、小中学生を対象とした「未来の農業用ロボットアイディアコンテスト」の入賞作品を紹介いただきました
大会を終えて
皆さんは今、何故、代替肉や培養肉だけでなくコオロギやカイコ、藻(スピルリナ)などが新たなタンパク源として注目されていると思いますか?
世界人口は2030年には85億人になり、併せて発展途上国の経済発展による中間所得層の増加により今後農産物需要が1.5倍まで膨らむことが予想されています。
地球は宇宙に浮かぶ大きな宇宙船のようなもので、食糧生産に必要な土壌や水には限りがあります。人類の経済活動が地球の環境を壊してしまいかねないくらい人口が増えてきているということだと思います。また、世界的な平和の推進や、貧困・疫病の克服は、食糧問題を加速させるというジレンマを抱えています。
これらの課題を解決するためにはアグリテックによるイノベーションが必須だと思います。
姫路市では、これらの課題解決に貢献できる農業分野のデジタル人材の育成を目指して、内閣府の地方創生推進交付金事業「スマート市民農園×STEAM教育による地域に根付くアグリテックの担い手育事業」に2020年4月から着手しました。この事業は、身体障害者等に農業体験を提供する「スマート市民農園事業」、小学校高学年等を対象に行う「農業版STEAM教育事業」、全国の高校生・大学生を対象にアグリテックに関するアイデアを競っていただく「アグリテック甲子園事業」の3つで構成されています。
STEAM教育とは、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学・ものづくり)、Art(芸術・リベラルアーツ)、Mathematics(数学)の5つの単語の頭文字を組み合わせた教育概念ですが、自ら課題を発見し解決手法を模索する能力・資質を磨き高めることが本質だと思います。
身体障害者等に農業体験を提供する「スマート市民農園事業」は、オリィ研究所が当時、期間限定で開設されていた分身ロボットカフェを見聞し、農業用ロボットFarmBotを使えば寝たきりの人でも農業ができるのではないかと思ったのが始まりです。今回、オリィさんに本事業を知っていただき講演をいただけたことは大きな喜びです。
アグリテック甲子園では、参加される皆さんに、アクリエひめじという最高の舞台を用意しました。また、SBイノベンチャーの力を借りて本格的なメンタリングも提供することができました。
アグリテック甲子園が学生の皆さんにとって、刺激的で、思いを実現するためのスキルを身に着ける場となりたいと願っています。
次回は、令和5年1月22日(日)の開催を予定しています。アントレプレナー(起業家)精神溢れる学生の皆さん、ご支援いただける企業等の皆さんとともに集えるのを楽しみに、次回にむけた準備を進めてまいります。
姫路市農政総務課長 柿本英夫